JUPITER NOVA – Kairos4G「今は楽しみのほうが大きいです」 PJS Season2 開幕直前 インタビュー
ライター:森田 真吾
2019年2月23日、PUBG JAPAN SERIES(以下、PJS)のseason2が幕を開ける。
その上位クラス、Grade1にひとつのチームが返り咲いた。JUPITER NOVAだ。
PJSの黎明期・αリーグから参戦し、βリーグで降格という苦汁をなめさせられながらもGrade2を戦い抜き、再び表舞台へと帰ってきた4人の選手。
今回は記念すべきシーズンの開幕前に、彼らの胸の内を聞いた。
トップバッターはアタッカーとして活躍するKairos4G選手が登場。
幼少期から親しんでいたFPS
――いよいよPJS Season2の開幕が迫ってきました。Grade2のことからGrade1に臨む意気込みなどを伺いたいのですが、まずはKairos4G選手について聞かせてください。選手名の由来は?
小学4年生のときに『スペシャルフォース』をプレイしようとしたときに、かっこいい名前はないかと探したんです。そこでギリシャ神話の神様の名前を見つけたので、この名前で行こうと思いました。「4G」はさらにカッコよくなるかと思って添えました。
――最初にプレイしたFPSが『スペシャルフォース』だったのですね。
MMORPGをしていた母親の影響で、ぼくもオンラインゲームをプレイするようになりました。次第に友だちと一緒にやるようにもなっていきましたね。
――ゆくゆくプロになる選手ということで、やはり当時から上手だったのでしょうか?
それがマナーとかネチケットを理解していなくて、動くキャラを全部撃っていつの間にか強制退場させられるような子どもでしたね。チームキルとかも関係なかったので、掲示板などに「マナー最低」と書かれたこともありました。
その後はルールを守ってプレイして、小学6年生のころには強いチームにも加入させてもらいました。そして中学3年生のときにユーザー主催の大会で準優勝して、そこから大会に出て勝つ楽しさを覚えました。
――「プロへの第一歩を踏み出していた」という雰囲気ですね。
高校1年生のときは『Overwatch』に全力を注ぎました。日本での最初の大会「Overwatch JAPAN CAP」でベスト4になったこともあります。そのあとは『CS:GO』にもハマったんですが、高校3年生のときに『PUBG』がリリースされてからは乗り換えました。
PJSにはJUPITERのストリーマー部門にいるNasTyさんに、「PUBGの大会ができるから一緒にやろう」と誘われたことがきっかけで出場することになりました。ただスクリムとかに参加したことがなかったので、「大丈夫か」と気になっていたんですが、無事にαリーグの予選を勝ち上がることができました。
――Kairos4G選手はJUPITER NOVAの生え抜き選手ということになるわけですね。ちなみに……JUPITERにはOverwatch部門ができましたが、かつてOverwatchでも活躍していた選手としては気になりますか?
試合を見ているとやりたくなりますね。でもレベルが違いすぎるので、ぼくは野良でいいです(笑)。今はOverwatch部門の方が注目されていますが、JUPITERに最初からいるメンバーとしては負けらていられないですね。
辛酸を嘗めながらも気持ちは途切れず
――いい刺激になっていると。では本題に戻って、2018年の振り返りからお願いしたいと思います。βリーグで無念の降格となってしまったわけですが、まずはそのときのチームの雰囲気はいかがでしたか?
βリーグは……、新加入のyakou選手がルールの問題で出場できないことになってしまって、影響はとても大きかったですね。オーダーの選手が不在で、しかも残された選手は誰もその役割をしたことがないという状況。降格も早々に決まってしまいましたし、なかなか難しい戦いでした。
――頼れるリーダーがいないのは、チームとしてはやはり痛すぎたわけですね。そんなβリーグを終えて、次なる舞台はオフラインのGrade2へと移りました。
Grade2のPhase1ではまず昇格を目標にしたのですが、練度を高められず10位でした。あまりチームとしての活動ができていなかったような気がしまして、「Phase2をがんばろう」という感じでした。
――降格して意気消沈している……というような順位でしたね。ただPhase2ではドン勝を2回取るなど、それまでの鬱憤を晴らすかのような躍進を見せました。そしてなんと1位にまで駆け上がったわけですが、この躍進の理由をどう考えますか?
徹底的に他チームを研究して、そのうえで自分たちのやりたいことがしっかりとできたことが大きかったと思います。
そうできたのは、Nicopコーチが加入してくれたおかげですね。第三者目線で意見を言ってくれるコーチが入ったことで選手同士の話し合いの機会も増えて、それぞれの選手の気になるところも指摘できるようになりました。
ぼく自身、「チームメイトは自分のことをどう思っているんだろう」と気になっていたんですが、「みんなはKairos4G選手のこういうところを直してほしいと思ってる」というのをNicopコーチを通して伝えるという流れもできたので、その指摘によってプレイの質が変わりましたね。Nicopコーチには本当に感謝しています。伝え方も方も上手なんですよね。優しいというか……。
――チームの躍進には、そんな舞台裏があったのですね。こうして一丸になったことで、11月4日のラウンド6でついにドン勝を達成。このときの心境はいかがでしたか?
単純に嬉しかったですね。ぼくはPJSのαリーグからずっと試合に出ながら初だったので、自宅でもアーカイブでドン勝のシーンを何度も見直しました。泣きそうになりましたね。
――ただこのときの相手が、同門のJUPITER COREだったわけです。試合のときは同門対決に気づいていましたか?
最初はまったく気づかなかったんです。終盤まで4人生存していたので、「ドン勝できるんじゃない?」と考えたらテンションが上がってしまって、キルログを見る余裕がなかったんです。もう「とにかく見えた敵を倒していく」みたいな感じでした。
そのあとにふとキルログを見たら「JUC」と表示されていたので、「あれ?」となりまして、ようやくCOREと最終局面を戦っていることに気づきました。
ぼくも含めてNOVAの選手の方がCOREの選手よりFPS歴が長いので、「負けられない」とは常に思っています。
上昇気流に乗ってGrade1の台風の目に!
――チームとしてどんどん磨かれていって、次はいよいよGrade1ですね。最近はスクリムでもドン勝を取ったりと、好調なイメージがあります。
最初のころはGrade1のチームにボコボコにされていましたが、慣れてきて研究の成果を出せるようになってきたことで、成績が安定するようになりました。
――スクリム以外にもしっかりと個人練習をしたり、PUBG漬けの日々を送っているようですね。
トレーニングモードを活用することが多くて、例えば「手榴弾をどんな距離からでも目的の場所に投げられるようにする」などテーマを持って練習しています。本番で緊張してもできるようにと、体に覚え込ませています。
――Kairos4G選手は緊張する方ですか?
状況次第ですね。最終局面でも4人で生き残っていれば平気なんですが、1人だけとか2人だけとかになると緊張してきます。Grade2のPhase2の最終日、最終ラウンドでのドン勝は最終局面にぼくとHydrich選手しか残っていなかったので、「責任重大だな」という感じでした。
Grade1は久しぶりのオフラインですが、βリーグ時代に体験していますし、「またカメラを向けてもらえる!」と、今は楽しみのほうが大きいです。
――オフラインでのプレイは、プロの醍醐味を味わえますよね。またJUPITER NOVAがその舞台に帰ってくるということで、大暴れを期待しています。今回はありがとうございました!