JUPITER NOVA – yakou「目標はあくまで高く世界一」PJS Season2 開幕直前 インタビュー
ライター:森田 真吾
頼れるリーダーが語るJUPITER NOVAというチーム
2019年2月23日、PUBG JAPAN SERIES(以下、PJS)のseason2が幕を開ける。
その上位クラス、Grade1にひとつのチームが返り咲いた。JUPITER NOVAだ。
PJSの黎明期・αリーグから参戦し、βリーグで降格という苦汁をなめさせられながらもGrade2を戦い抜き、再び表舞台へと帰ってきた4人の選手。
今回は記念すべきシーズンの開幕前に、彼らの胸の内を聞いた。
トリを務めるのはJUPITER NOVAの頭脳であるyakou選手。
新たなムーブも確立し視界は良好
――いよいよPJS Season2が開幕しますね。降格、昇格と紆余曲折を経てのGrade1出場ということで、感慨もひとしおかと思います。チームのオーダーを務めるプレイヤーとして、今のチーム状況はいかがですか?
いい感じに仕上がっていると思います。「PUBG ASIA INVITATION(以下、PAI)」で優勝したACTOZ R(韓国)のムーブを参考にしたムーブで臨もうと思っているのですが、板についてきましたので。
序盤中盤の戦闘を極力避けて、いかに終盤まで4人で生存するかがテーマのものです。そのためにぼくも他チームにかぶらない降下の仕方でしたり、ランドマーク、降下してからのルートなどを研究してきました。キルポイントの比率も上がりましたが、まずはやはりドン勝を狙う。そのためのムーブですね。
――「PUBG WINTER INVITATION(以下、PWI)」からのルール変更で、ムーブの再考を強いられたチームも多かったようですね。
キル志向になったチームも多かったですね。PWIでも神経質になっているように見えました。ぼくが4人生存を第一に考えているのかは、4人なら8つの目があるので視野が保てるんですよね。『PUBG』は情報が大事なので、「どこに敵が何人いる」という情報がポジション取りにつながってきます。戦闘面ももちろんですが、安置への対応などがしやすいので極力生き残ってほしいんです。
そのことはメンバーにも口酸っぱく言わせてもらっていて、作戦のためにやってほしいことも伝えています。「いい感じに仕上がっている」というのは、そういったことが浸透してきているのを感じるからですね。
まさかリーダーの不在でチームが降格
――ここで一旦2018年の振り返りをしていただきたいと思います。yakou選手はβリーグからのJUPITER NOVA(以下、NOVA)加入でしたね。
そうなんですが、ルールの問題でβリーグに出場できなかったんですよね、それでぼくが不在のときにGrade2に降格して……。歯がゆさもありましたが、それ以上に申し訳ないなという気持ちが大きかったです。
ルールとはいえ、オーダーのいない状況で戦わなければいけなかったチームメイトには、本当に迷惑をかけました。降格させてしまった責任を取りたかったので、Season1では昇格することしか頭になかったですね。
――なかなか大変な船出でしたね。試合に出たチームメートには、どんな声をかけましたか?
「思い切りやってこよう」という話はしました。仮に降格する結果になっても、またGrade1に戻ってきたときに「やりずらいな」と思わせるような、相手の印象に残るようなプレイをしようと。
――そういったやり取りがあったのですね。その後、夏場のオフシーズンを経て9月からSeason1のPhase1に入っていくわけですが、その間はどんな取り組みをしていましたか?
ぼくはシーズンが終わるとムーブを一旦白紙に戻すんです。そのうえで引き継げるところは引き継いで、改めるところは改めてという作業をします。
新たなものを取り入れるために海外の大会を研究して、自分のやりたいムーブを見つけてはスクリムで試して磨き上げていくということをしていました。
――チームとしてはスクリムをがんばっていたんですね。個人ではいかがでしょうか?
前日のスクリムを一から振り返って、自分のいいところや気になるところを見つけ出す反省会をするようにしていました。
あとはトレーニングモードでのエイム練習だったり、ぼく自身は日本の他チームのムーブを研究したりという感じですね。時間に関しては……なんとかやりくりしています(笑)。
――国内のチームを研究するなかで、気になったチームはありましたか?
Grade1のチームはどこも強いですが、最近ではデトネーションゲーミングブラックですね。PWIでモストキルを取ったSSeeS選手が、個人スキルももちろんですが今の日本のメタに刺さっているのを感じます。あとはオーダーとしてcocorou選手が移籍してきたことで、より強力なチームになったかと。
今はSunSister Suicider’sとCrest Gaming Xanaduの二強という構図ですが、割って入るのではと思います。もちろんNOVAも食い込んでいくためにがんばります。
βリーグの借りを返したPhase2
――元々は同じステージで戦っていたチームということで、負けていられないですよね。話を戻して、Season1のPhase1は総合10位という結果でした。
取り組みの面でメンバーの長所を挙げて、ときには短所も指摘したりすることで、それぞれの意識が変わっていったというのが大きかったですね。できることは伸ばして、苦手な部分はなくすように努力してくれたことが実を結びました。
話し合いをしても喧嘩にならないんですよ。なかなか珍しいかと思うんですが(笑)。ぼく以外の3人は落ち着いているというか大人なので、ギスギスするようなことはなかったですね。
あと……、振り返ってみるとβリーグもSeason1でもDAY1終了時点ではいい順位にいるんですが、最終日でガタっと来てしまうことが多かったんですよね。体力も課題だったので、そこは日々のスクリムで集中力を保てるように気を配ったことも、Season2の結果につながったと思います。
――Phase1からPhase2で順位が跳ね上がっていますもんね。
要因が次々と浮かんでくるんですが、Hydrich選手が加入したことも大きかったですね。Season1のPhase1からNOVAの一員になってくれましたが、Phase1でチーム内の役割やほかの選手の得手不得手を理解してくれたことで、Phase2ではしっかりフィットしました。
――どんどんいいチームになっていくNOVAですが、改めてyakou選手から見た各選手の長所を教えてください。
Hydrich選手は昔から上手でして、Grade1の選手と比べても撃ち合い、エイム力は遜色ないと思っています。加えてサブオーダとしての危機管理能力も優れていて、ぼくのオーダーに味付けをしてくれるので助かっています。
Middleee選手はサポートという形で、なんでもこなせるオールラウンダーですね。チームを盛り上げてくれるムードメーカー的な存在でもあるので、いろいろな面で助けられています。
Kairos4G選手はチームで一番若い選手でNOVAの生え抜き。近距離の撃ち合いに強いので、Hydrich選手と2枚看板でキルを量産してほしいですね。
――そんなメンバーとともに、Phase2ではドン勝も2回取りました。Round6で取った初ドン勝の味はいかがでしたか?
うれしかったですが、「やっとか……」という思いもありました。目標はあくまで高く世界一なので、ここからという思いが強かったですね。
愚直な練習で目指すは常に世界一
――そしていよいよGrade1ですね。最近はスクリムでも高頻度でドン勝を取るなど、波に乗っている印象があります。
1日5試合やっているのですが、5試合中1試合はドン勝を取れるようになってきているので、ムーブに関してはGrade1でもやれる自信はあります。
課題は撃ち合いですね。日本のトップ選手が集まっているリーグなので、海外の選手に引けを取らない選手もたくさんいます。まだまだ劣っている部分があるので、チームとしての動きで補完しながら戦っていきたいと思っています。
――個人のスキルは、やはり練習あるのみですか?
海外のチームはとにかく練習しているので、ぼくらも負けじと個人練習は毎日休みなくしています。練習量ではどのチームにも負けていないと思いますし、『PUBG』はやればやるだけうまくなるゲームなので、まだまだ伸びる余地はあるかと。実際ぼく自身、過去よりも今が一番上手いと感じますからね。
――本当に心強いリーダーですよね。NOVAがGrade1を決めたとき、Twitterでも「yakou選手が帰ってくる!」というツイートを見ましたし、ファンも待ち焦がれていたという感じですね。
所属するチームが変わっても応援し続けてくれるファンがいるのは、本当にうれしいですよね。ぼくは山あり谷ありの選手生活なので、ファンの皆さんもきっとハラハラドキドキしていると思います。
でもぼくは谷のときでもモチベーションが下がったことはなくて、負けず嫌いなのでむしろ上がる。「やってやる!」という気持ちになるんです。
ですのでこれからも自分を信じて、チームメイトを信じて、その気持ちを常に心に留めて戦っていきます。
――力のこもった言葉、ありがとうございました。ここから始まる新たなJUPITER NOVA伝説に期待しています!